渡哲也演じる大門圭介率いる大門軍団が、石原裕次郎演じる木暮課長の下で凶悪犯罪者とひたすらに戦う、あまりにも有名な刑事ドラマの金字塔です。
本シリーズの持ち味は何と言っても派手なアクションに尽きます。
チンピラ相手の聞き込みにすらいきなり殴る蹴るから入るという荒っぽさで、
取り調べとなれば今ならコンプライアンスに触れる拷問同然の方法で締め上げ、捕り物となれば廃車続出のカーチェイスに、犯人射殺も辞さない銃撃戦、
生きて逮捕するとしても手錠をかける前に殴る蹴るの制裁は欠かしません。とにかく現代の刑事ドラマではありえないほど派手です。
それというのも犯人側もやることがいちいち凶悪だからで、ヤクザは平気で堅気を射ち殺し、誘拐強盗は日常茶飯事。
街のそこら中に麻薬中毒者があふれ、第一話に至ってはテロリストが米軍から強奪した装甲車が都内を破壊しながら暴れ回ります。本当にここは日本なのかと驚く治安の悪い世界です。
それも舞台は東京にとどまりません。難病を克服して復帰した石原裕次郎の全国のファンへのお礼を兼ねて、過去にない大規模な地方ロケを敢行し、
全国を股にかけて石原軍団が魅せます。土地勘のある場所が出てくると今の街並みとの違いなども楽しめ、史料価値もあります。
そして、シリーズが進むと代名詞とも言える爆発が多用されるようになります。車の爆破程度はしょっちゅうで、地方ロケともなればレストラン、
工場の煙突、路面電車、遊覧船と、とにかく何でも爆破してストーリーを盛り上げてくれます。
最後にはわざわざ爆破するための要塞を一から作ってしまったというほどで、爆発が本当の主人公と言ってもいいかも知れません。
脇を固める多士済々の刑事達もまた魅力です。助け合い、時に衝突し、またある時は殉職してしまう彼らのひたすらに熱血な人間ドラマも見所と言えるでしょう。
「太陽にほえろ」で確立された殉職で見せ場を作りつつメンバーを入れ替えるシステムは健在ですが、序盤に殉職した舘ひろしが後で別人として再登場したりします。降板させたら苦情が来るほど人気だったからですが、それも納得の活躍ぶりを見せてくれます。
評価は満点でもよかったのですが、やはり古い作品ですので画質に少し難があります。その分1点減点とさせていただきますが、内容だけなら文句なしに満点。3シリーズ通してエピソード数は実に236話と見応えも十分です。自信を持ってお勧めします。
9/10点