宇宙へのロマン、社会問題、愛、すべてが詰まってる名作アニメプラネテス。
あまり知名度は高くない本作ですが、名作を世にいくつも送り出している谷口悟朗監督が手掛けた素晴らしいアニメです。
ストーリーは遥か未来の2070年代に、田名部愛、通称タナベがテクノーラ社のデブリ課に配属されるところから始まります。
大きな会社に入り心踊らせていたタナベが配属されたデブリ課は、宇宙のゴミであるデブリを回収する言ってしまえばただのゴミ拾い。
会社での扱いも酷く落胆してしまうのですが、デブリ課の先輩星野八郎太、通称ハチマキを始めとする個性が強すぎる面々と共に仕事をするうちにデブリを回収する事の大切さ、皆が持っている夢や大切なものに気づき成長していく物語です。
宇宙が舞台でなおかつ聞きなれないデブリ回収という地味な仕事が主軸となっている話なので、最初はあまり気が進まなかったのですが視聴を続けていくうちにどんどん引き込まれて行きました。
とにかく話が深く、最初は仕事の大切さや小さい頃から持っている夢など身近で考えさせられる話に興味をそそられ、そのうち死後も含めた自分の幸せの在り方、貧困や紛争、人種問題、果ては愛とは何かというテーマにまで話は及びます。
ここまで聞いてるとあまりに重苦しいアニメなのではないか、と思われてしまうかもしれませんがそこは谷口悟朗監督の手腕が素晴らしく、息抜きの回やジョークも上手く散りばめられていて全く飽きさせない作りになっています。
特にタバコを吸う場所を追い求めるだけの非常にウィットに富んだ話があり、宇宙はタバコを吸える場所が非常に限られているのですが、それを探しているうちに地球を救ってしまうという大真面目だがどこか馬鹿馬鹿しい回もありました。
しかし今考えると喫煙出来る場所が日に日に減ってきて、喫煙者の肩身が狭くなって来ている昨今、先見の明があり考えさせられる話かもしれません。
このように視聴回数を重ねる程発見があり、面白くなっていくのもプラネテスの魅力のひとつだと思います。
また音の表現へのこだわりが素晴らしく、宇宙空間にいるシーンでは絵も相まってまるで自分が宇宙にいる様な感覚が味わえます。
個人的には欠点という欠点が見つからない作品ですが、やはり宇宙が舞台だったり機械が多く出てくる作品を見慣れていない人には少し入り込みにくさがあるかもしれません。
そういった点も考慮して、評価は星9.5です。