PSYCHO-PASS~サイコパス。
シーズン1とシーズン2がありますが、現状どちらもHuluで扱われています。近未来を舞台としたSFアニメですが、「攻殻機動隊」ほど電脳世界にはなっていません。
時期的には、ってSFでこんな言い方も変ですが、もう少し手前の馴染みやすい未来です。「シビュラ」と呼ばれるシステムにより人間のストレスや内面の攻撃性が測定され、常に監視される世界。その数値が規定値を越えると潜在犯として拘束、治療の対象となります。
公安局刑事課新任の常守朱(つねもりあかね)はまだ学校出立ての女の子ですが、立場は監視官であり、いずれも癖のありそうな執行官たちを使いこなさなければならない立場です。
執行官とは潜在犯でありながら、その能力を買われ捜査に駆り出される猟犬のような存在。
物語のポイントとなるのが、ドミネーターと呼ばれる拳銃です。銃口を対象者に向けることで犯罪係数を測定し、その数値に応じてパラライザー(麻酔)、エリミネーター(殺害)、デコンポーザー(破壊)と形を変えます。
常守の初仕事は、女性と人質に取って逃げる男。人質の女性を無事に助けた時、女性は恐怖心、極度のストレスから彼女自身の犯罪係数を上げていました。彼女は被害者から犯罪者へ。厳密には予備軍なのでしょが、この世界ではドミネーターが殺害用へと形を変えアナウンスまで流すのです。
「慎重に標準を定め、対象を排除してください。」
これってリアルに怖いです。主人公の常守はある種天然かと思われるくらい素直に自然に振る舞いながらも、色相は綺麗なままです。(犯罪係数の良し悪しを色で表現するセリフがよくあります。)
人を恨む気持ち、くさくさした気分、妬み、そういったものがすべて悪い影響を及ぼし、色相が濁らないようにとびくびくしながら暮らす人たち。
自信がある人もいるかもしれませんが、私ならどんどん真っ黒になっていくでしょうね。毎日がくさくさする気分との格闘ですから。
さて、ストーリーは免罪体質者と呼ばれる、ある人物をネックとして進んでいきます。数百万人に一人の割合で出現する、犯罪係数が測定されない特異体質の人間。彼の暗躍によって、一見ユートピアのごとく平和で犯罪の少ないこの世界の歪な側面が現れてくるのです。
シーズン1は全22話、シーズン2が全11話、見始めたら全話一気にいってしまう面白さです。10段階評価で8.7としておきたいです。
最後に好きなキャラ。
シーズン1で常守の先輩監視官で、常守にも厳しく接していた宜野座伸元(ぎのざのぶちか)。執行官の征陸智己(まさおかともみ)にも、冷たく、厳しく当たりますが実は親子。父親が叩き上げの刑事でありながら、潜在犯。葛藤もあったようですが、シーズン1のラストで理解しあえたようです。
ただし彼自身も犯罪係数が規定値を越え父親同様、潜在犯から執行官へ。シーズン2ではそのまま同じ公安捜査課において執行官として登場します。最初はちょっと面倒臭い性格にも見えますが、なかなかしぶい活躍を見せてくれます。