そんなに古いアニメではありません。
「このはな綺譚」2017年の作品だったかと思いますが、今一番、お気に入りの作品です。わりと最近の作品だとHuluさんの入れ替わりも早いのですが、すいませんがHuluさん、これだけは、まだまだメニューに入れておいてほしい。
何度も見てるのに、これほどまた見返したくなるアニメは、私としては久しぶりなのです。
さてこの物語、異世界の宿屋のお話しです。
人間の世界と神々の世界、その中間に位置する、八百万の神々御用達の旅館が舞台の物語。ジブリの「千と千尋の神隠し」を連想される方も多いと思われますが、こちらで活躍するのは可愛い狐の女の子達です。
八百比丘尼に拾われ育てられた主人公の子狐「柚」は「このはな亭」という神々が利用する宿屋で仲居として働くことになります。
かなりのおっちょこちょいで不器用ですが、素直で純真な柚はここで出会った仲間と色々な経験をし、お世話をすることになったお客様から色々なことを学んでいく物語です。全十二話になりますが、お気に入りのストーリーはダントツで第8話の「かりそめの客」。
本来、異次元であるはずの「このはな亭」に現世から迷い込んでくる人間たちと、柚たちとの触れ合い。それぞれに事情を抱えた人たちと、優しさいっぱいの異界の者達とのやりとりがもうたまりません。そういうオチか、と唸らせるストーリーテリングも見事です。
せっかくだから筋について深くは触れませんが、ラストでは涙ダクダクでした。
柚を囲む登場人物たちも魅力いっぱいですが、個人的に好きなのは、第五話から登場する「お菊」。厳密に言えば、この呼び名自体本人は納得していないのですが。気味が悪いと物置に押し込められ、いつしか髪が伸びて、動き回るようになった、呪いの日本人形。イメージから、勝手に「お菊」と名付けられ、このはな亭で仲居(見習い)となります。
自分ことを一級品だの匠の作品だのと自我自尊するツンデレキャラで、人間への呪詛も隠そうとしませんが、人に愛されなかったという強張った心は、「このはな亭」の住人たちに囲まれて徐々にほぐされていきます。
原作本はコミックスの連載が中断したり、改名して再開したりと、いろいろあったようですが、アニメの続編、計画でないかなーと願うばかりです。
10点満点なら9.8点。
満点でない理由は、この先まだ見たことのない作品のために開けておくだけで、実質、現時点ではアニメにおいてこれ以上の点数をつける作品はありません。
現実の世界において、むしゃくしゃすることも、人を恨むことある時、このアニメを見て精神をリフレッシュさせています、と言ったら大げさに聞こえます?
本人は至って本気ですので、冒頭でも言った通り、まだ当分はメニューから外さないで欲しいとHuluさんに願うばかりです。