容姿端麗成績優秀でスポーツ万能な、まさに完璧といった感じの少女、土間 うまるちゃん。しかし彼女の「完璧JK」っぷりは学校や家の外だけの話であって、一旦家に戻ると、
背丈から露骨に縮まり、可愛らしいフードを被って、まったく家事をしたりもしない「干物妹(ひもうと)」として日常を満喫するといったお話です。
一見完璧超人な女の子に意外な顔が、といった作品は、シリアスからコメディまで実に数多くありますが、本作のように一番のポイントであるうまるちゃんの容姿までデフォルメ化してしまい、
単なる比喩でなく知らない人にはまったく分からなくなってしまうという変身ぶりを遠慮なく見せつけていくという変化の激しさは、ちょっと他の作品では見ることができないものであり、そのギャップの激しさにはビックリしつつも微笑ましい思いを抱くことができます。
うまるちゃんのお兄さんのタイヘイ君も、実はとても優秀で料理が得意だったりするのですが、会社ではその特技を活かせず「社畜」的な生活を余儀なくされながらも、何だかんだといつもうまるちゃんには優しく、観ていて心がほっこりするやり取りが嬉しかったりもします。
また、きりえちゃんやシェルフィンちゃん、海老名ちゃんといったうまるちゃんのお友達も、皆「妹」であって、その性格やお兄さんたちとの距離感の違いがほっこりと面白い作品とも言えますね。
また、こうした「お兄ちゃん大好き!」な妹キャラの場合、嫉妬深くて排他的で、他の女性キャラとは馴染めなかったりする場合があるのですが、本作のうまるちゃんの場合は、外面モードでもミニうまるモードでも非常に優しく、お兄さん以外の人にも思いやりを惜しまないのが本当に嬉しいところです。
だからこそ海老名ちゃんとうまるちゃんは、対外的には三角関係っぽくありながら温和でギスギスしない親友関係を保てており、「けいおん!」シリーズのように、男性キャラが基本登場しない作品のような雰囲気も味わえるのは、
本当に絶妙なバランス感覚だと思います。ぼんば君やアレックスなど、脇を固めている感じながら、いかにも性格が良く、タイヘイとも息が合いそうな二人がクローズアップされたりしているのも、作品全体の雰囲気を良くすることに貢献できていると思いました。
各キャラの性格付けがきっちりしているので、キャラ崩壊の懸念がないという部分でも安心して観られるという意味で、実に有意義な作品だと思います。
評価は8点です。