壺が大好きな経済ヤクザ、新田。まだ若いながらも切れる頭脳をフル活用し、シノギを成功させていく腕利きのプロでありましたが、そんな彼のもとに、何か妙な物体にくるまった少女、ヒナが登場します。
まったく素性の分からない、単なる子供にしか見えないヒナでしたが、実はもの凄い超能力を持っていました。
初めは何かに利用できるかな、とも考えた新田ですが、子供を自由に使っていくようなことはせず、
上から睨まれて鉄砲玉に行かされた時もヒナを頼ろうとはせず、ヒナもそんな新田のために「命令」以外で力を使ったりして、奇妙な絆で結ばれた二人の共同生活が始まっていきます。
もっとも、ヒナと同じように飛ばされてきた超能力少女アンズが完璧に路頭に迷い、ホームレス生活を余儀なくしたり、
もう一人の超能力少女、マオに至ってはえげつないほど精神が追い詰められる無人島生活を強いられたりと、可愛い女の子がたくさん登場するのに、彼女たちへの圧力が強烈かつ絶妙で、随所に黒い笑いや大人の思惑が全開なのが特徴です。
カタギの女性でも平気で女子中学生をバーで働かせたり、男子をボッコボコにしたりと完璧に容赦なく、
ヤクザなのに人がいい新田に至っては部下の誤解がきっかけでドラム缶に詰められてしまうなどのキツい展開とイイ感じのリアクションが交錯し、他にはないタイプの笑いをもたらしてきますが、
同時に、ホームレス追い出しに反対してデモをする住人たちだったり、色々な人の優しさに触れ純真になってくるアンズの姿だったり、弱い者や人のダメなところ、真心といった要素にとても温かい視線が注がれており、
主人公がゴリゴリのヤクザという、昭和劇画のような設定なのに、古臭さやワルっぽい感じがないのは非常に良いところだと思います。
また、ヒナやアンズ、そして瞳といった女の子たちも、いわゆる「萌え」的な要素からは遠い雰囲気があるものの、非常にユニークで可愛らしく、お兄さんや父親になったような気分で、彼女たちの個性的な動きを楽しめるのもポイントだと思います。
あらゆるところで「笑い」に持っていこうというハングリーさも滲んでおり、一般的な日常アニメよりも、よりパワフルな展開を楽しむことができるでしょう。
概ねヒナは学校では寝ているだけで、アンズも登校してきたりはしないので、学校のシーンはメインっぽい感じは薄いのですが、クラスメイトたちが良い意味で中学生らしい雰囲気があるのも、非常に配慮が細かく嬉しいところですね。
評価は9点です。